
Theater Complex 00 -Master Piece 舞台芸術祭- 参加作品
色鮮やかな実が誘う
利権、名誉、地位、財産、幸福…
その実をつまんではトリップし、また舞い戻る
その繰り返し
いつまでも空腹は続く
できることならその実を体に擦りつけ、極彩色の皮膚を得て、殺伐とした現実世界の
カモフラージュとしたい
空虚はあらゆる実で埋め尽くされ、悲痛な声は響かない
強靭な欲の皮を演じるうちに多汁質の実が生るだろう
そして食われるがいい
ここに実を食む鳥がいる
彼は鳥の王ロプロプの名を借り、新たに古典の、驚異的な古典の海に着水する
地下室、ベッド二つ、男二人
『おとなしい給仕』による賑やかな晩餐会が始まろうとしている
いや、もうとうに始まっている
だが地下室に亀裂が入り、男たちは底の見えない深海に吸い込まれて姿を隠してしまった
ベッドにしがみついたまま漂流する
漕ぎ着けたのは冬の造船所跡地
生ぬるかった水は氷のように冷え切っている
生ぬるかった男たちは凍えながらも水の抵抗を跳ね返し、
再び水から上がって地下室を作り始めた
ロプロプは相棒のP・Eに言う
「天井は作るべきだろうか」
天井のない地下室は底なしの沼に似ている
そこで遂行される任務を終えた後、地上に出るためにも天井は作っておくのがいい
うなぎの寝床のような空洞に壁が建つ
客が通され、とうとう晩餐会が始まった
熟れきらない実がゴロゴロ配膳される
色彩は鮮やか、形ははっきりしている
だがそれが「何なのか」はわからない
美味しそうでもあるし、毒を含んでいるようでもある
こういうものをミステリアスというのだろう
客たちは安全な場所からそれをじっと見て楽しんでいる
男たちはその実のキャッチボールを楽しんでいる
結末は知らない
ただ時が経てば晩餐会は確実におひらきになる
「何も起こりはしなかった」?
そうだろうか
そこはかつて造船所だった
誰かが船を作り、海に浮かべ、歓喜の声をあげていたに違いない
誰かの記憶に残っているに違いない
だがその場は多くを語らない
かすかな温もりを宿した冷たい壁があるだけだ
痕跡に寄り添う考古学者はいない
熟れきらない感性が漂着し、また旅立っていく
『おとなしい給仕』は実を壁に投げつけ、汁を滴らせ、トレースして、壁画を描く
いずれそれは水泡に帰すことを知りながら
すべては海に沈みゆく
「何も起こりはしなかった」?
そうだろうか
男たちは地上に立つ
実をつまんではトリップし、また舞い戻る
その繰り返し
いつまでも空腹は続く